『森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民』上映会
ブリュッケにて金子遊監督の『森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民』の上映会です。併せて『憑依の宴 ジャワ島のジャティラン』(短編)の上映もあります。
ラオスの森の民が
わたしたちに教えてくれること
人食い伝説によって、たがいに憎しみあうムラブリ族に
日本の言語学者が対話の力で融和をもたらす
映像人類学の可能性を切りひらく、かつてない冒険!
本作は、6ヶ国語を自由に話し、文字のないムラブリ語の語彙を収集する、言語学者・伊藤雄馬とともに足かけ2年、ムラブリ族を追ったドキュメンタリー。伊藤はラオスで狩猟採集を続けるグループへの接触を試み、カメラは世界で初めて、ムラブリ族の謎めいた生活を撮影することに成功。ムラブリ族は言語学的に3種に分けられることが判明し、お互い伝聞でしか聞いたことのないタイの別のムラブリ族同士が初めて会う機会を創出する。また、今は村に住んでいるタイのムラブリ族の1人に、以前の森の生活を再現してもらうなど、消滅の危機にある貴重な姿をカメラに収めた。
インドシナ半島の密林におけるサステナブルで、政府からも自由なアナーキーな生き方を見つめることで、文明社会で暮らす私たちにも、「真に重要なことは何か」が見えてくる。
【ムラブリ族とは?】
タイ北部やラオス西部のゾミア(山岳地帯)で暮らし、400人程度しかいない少数民族。最近まで男女とも裸に近い姿で、小動物や植物をとって食べる狩猟採集生活を送ってきた。まわりの民族にほとんど姿を見せず、森のなかを移動して暮らすノマド(遊動民)。1930年代に民族学者のベルナツィークが接触して著書『黄色い葉の精霊』で紹介し、欧米で知られることになった。
上映 + 伊藤雄馬氏トーク
本編に出演されている言語学者の伊藤雄馬さんをお招きして上映後にトークがあります。
日程2月11日 土
上映 + 金子遊監督トーク
監督の金子遊さんをお招きして上映後にトークがあります。
日程2月23日 木
金子遊
映像作家、批評家。多摩美術大学准教授。
劇場公開映画に『ベオグラード1999』(2009)『ムネオイズム』(2012)『インペリアル』(2014)。近作『映画になった男』(2018)は東京ドキュメタリー映画祭、田辺・弁慶映画祭などで上映後、全国劇場公開。プロデュース作『ガーデンアパート』(2018)はロッテルダム国際映画祭、大阪アジアン映画祭で上映され、全国劇場公開。『森のムラブリ』(2019)が長編ドキュメンタリー映画の5作目。最新作の『フイルム・フェティッシュ』(2022)が、ロッテルダム国際映画祭2023で出品決定。
著書『映像の境域』でサントリー学芸賞<芸術・文学部門>受賞。他の著書に『辺境のフォークロア』『異境の文学』『ドキュメンタリー映画術』『混血列島論』『悦楽のクリティシズム』など。 共編著に『アピチャッポン・ウィーラセタクン』『ジャン・ルーシュ 映像人類学の越境者』、共訳書にティム・インゴルド著『メイキング』、アルフォンソ・リンギス著『暴力と輝き』など。ドキュメンタリーマガジンneoneo編集委員、東京ドキュメンタリー映画祭プログラム・ディレクター、芸術人類学研究所所員。